2012年3月28日水曜日

第621回東京都青少年健全育成審議会議事録を読む

http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/09_singi/621/621gijiroku.pdf

今月は図書審議では特に議論がありませんでした。

前回の焦点「裏技大全2012」のこと

○青少年課長
 前回さまざまな議論がございました。不健全図書類に指定された「裏技大全2012」について、種々調査等を行いました。
 まず、「裏技大全2012」は、他の3誌とともに、2 月17 日に不健全図書として指定をしました。その上で2 月21 日に、発行者の株式会社三才ブックスの担当者を都庁に呼び、「判断力の未熟な子供が見れば、真似をすることもある。こうした犯罪の手口の詳細を載せる必要はあるのか。」といった指摘を伝えたところ、先方からは、「あくまでも防犯のためである。手口の詳細といっても、肝心な部分は伏せてある。」といった旨の回答がありました。
 なお、株式会社三才ブックスは、昨年1 月にも、「三才ムックvol.347 裏ワザ大全2」が、今回の「裏技大全2012」と同様に「著しく自殺又は犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」ものとして指定をされており、昨年の「裏ワザ大全2」の指定のときも、「もし続編を発行するような場合は、18 禁マークをつけるか、犯罪を誘発するようなものでない内容にしてほしい」旨、指導したところであります。
 そういう経緯がありまして、昨年の「裏ワザ大全2」と今年の「裏ワザ大全2012」の違いについて確認をしたところ、先方は、「記事は昨年のものよりもソフトにしている。指摘も踏まえてさまざまな記事を見直して、表紙にも注意書きを増やすなど、配慮したところである。」という回答を得たという状況です。

「完全自殺マニュアル」についてのおさらい

○青少年課長
 次に、先月の議論の中で具体的に名前が上がりました「完全自殺マニュアル」という本についてご報告をいたします。
 この「完全自殺マニュアル」は、平成5年に株式会社太田出版から発行されたもので、この本を所持した自殺者がいるという報道が相次いだことから、平成9年から平成11年ごろにかけて、当方で把握している限り、東京以外の他県で、12県、有害図書の指定がなされている状況です。
 都においても、平成11年8月の審議会で議論にはなりましたけれども、平成11年当時の条例には「著しく自殺又は犯罪を誘発する」という指定基準がありませんでしたので、不健全図書類の指定は行えませんでした。しかし、審議会としては会長名の見解を出しております。
 概略を申し上げますと、「著しく自殺又は犯罪を誘発するもの」という基準が存在していないため、不健全図書類の指定は困難であるという都の判断は妥当であるとしつつも、「本審議会は、『完全自殺マニュアル』が、自殺の手段・方法を詳細に記述して自殺を誘発するおそれのある内容であり、青少年の健全な成長を阻害するおそれのある不適切なものであると考える」という会長の見解、そして「条例の見直しを含む適切な対応をとるように都に要望する」というものでした。
 そうした見解も踏まえ、平成13年の条例改正で、「著しく自殺又は犯罪を誘発するもの」も不健全指定図書類に指定できるように条例改正がなされたところであります。ただ、改正後も、「完全自殺マニュアル」については、指定は行っておりません。
 次に、前回一部の委員の方からご発言がありました「発禁処分」についてですが、日本国憲法は第21条第2項で検閲を禁止しており、行政上の発売禁止処分は制度上存在しませんが、裁判所による出版の事前差し止めという仮処分はあり得ます。
 この審議会は、あくまで青少年の健全育成の観点からさまざま審議をしていただくものでありますから、不健全図書類の大人への影響とか、社会全体への悪影響等を議論し、あるいは、そういったことを事務局から説明することは、直接の任務ではありませんが、表現の自由があるからこそ出版業界の自主規制や自主努力が求められているものではないかと考えております。

 つまり、審議はしたけど条例に審議会で指定できる条項がなかったために指定ができなかった。ゆえに会長名で条例に見直しが必要なのではないかという意見を出した。ということのようです。
 実に審議会のできることとできないことをわきまえた判断じゃないですか。そういう意味ではマトモに機能してますね。
 で、前回発禁とか大人も読むべきじゃないとか叫んでた人……

○会長
 今の件でご質問等ございましたらどうぞ。
(「なし」の声あり)

 なんか意見ないの?

今月の通報申出

 今回はアニメで2本、図書で1本あったわけですが。

○青少年課長
 資料の22ページ以降をご覧ください。2月に処理をいたしました都民からの申出で、計3件ございました。
 1件目は、「残虐的な描写のあるテレビアニメについて」で、2件あります。これは、先月もありましたが、東京MX テレビが深夜に放映しています「未来日記」というアニメの中に、「人を残虐に殺すシーン」があるということであります。同様の深夜のアニメで「アナザー」という番組の中に、「人の死を過度に強調して描いている」といったご指摘がありました。いずれも事務局で確認しましたが、指定基準の「甚だしく残虐性を助長するもの」とか、「著しく犯罪を誘発するもの」というような描写ではないと考えます。

 2点目の「残虐的な描写のある図書について」は、株式会社双葉社発行の「王様のゲーム」という漫画の内容が「エロチックで残虐である」という指摘でありました。これも購入して確認しましたが、「著しく性的感情を刺激するもの」とか、「甚だしく残虐性を助長するもの」というものではないと判断をしました。

 事実上の門前払いになりました。AnotherはBS11で見る予定。
 BPOとは違って今後もこういうところの具体的な番組名やらは確定してほしいものです。それを事務局判断で決定していいのかどうかは依然として別ですが。
「王様のゲーム」って何?と思ったら「王様ゲーム」のことか。読んだことないけど、聞いたところではバトロワや某エロゲを思わせるものがありますね。

次回は……

 なお、次回審議会は4月9日でございます。

 昨年4月の審議会が2011年4月11日だったので「過去1年間に6回指定」のルールがまだ残るということになるのかな……。



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