2011年10月31日月曜日

「番組に比べてCMの音量がデカい」に関して手がかりがあったのでちょっと調べてみた

番組に比べてCMの音量がデカい、というご意見

 以前からあったけど実際にいつからだったかさかのぼってみると結構前でした。過去2年分では……

番組からCMへ切り替わった際の音量を統一して欲しい。番組内の音量が、突然大きな音になることがあるので驚いてしまいます。寝付いた子どもが起きてしまったりして困ります。
2010年4月分より
CMになると音量が上がるような気がする。あまりに騒がしいのでチャンネルを替える。売りたいという気持ちは分からないでもないが、耳に心地よいものではない。番組と同じ音量が良い。
2010年3月分より
民放各局のCMの音量について言いたい。番組本編との音の大きさが違いすぎるので、CMのたびに小さくしなければならない。最新の液晶テレビには「ドルビー・ボリューム」という音量調節機能があって、CMに入ると自動的に音量が小さくなるようだ。しかし、テレビがこの機能を搭載するということは、放送局側に問題があるからだと思う。なんとかならないだろうか?
2009年7月分より
私の子どもは片耳が聞こえず、テレビ番組を通常より少し大きな音量で視聴するのが常となっている。そのとき大変困るのが、番組本編からCMに切り替わると突然音量が大きくなることです。子どもと一緒に見ていると、両耳が健常な私でも驚くことが多々ある。番組中の音量とCMの音量について調査していただき、 CMの音量についてガイドラインを定めていただければありがたい。以前、画面の点滅で視聴する子どもに異変が生じたことがあったかと思うが、音についても同様な子どもがいることに配慮していただければ幸いです。
2009年6月分より

 これだけ。1年分としてはまぁ無視はできない数ではないかと。で、最近フランスで「テレビ番組とCMの音量を同じにせよ」という法律ができたのだそうで。

テレビ番組とCMの音量を同じにせよというフランスの法律(THIS WEEK 放送) - 週刊文春 - 文春.jp

「テレビCMの音量を番組本編と同じにせよという法律。違反した企業には売り上げの三%相当の罰金が科せられます」(CM製作会社関係者)

 結構厳しいようです。

日本のCMチェックはどうやってるの?って話

 問題は日本ではどうなの?という話なんですが、意外としっかりやってはいたようで……

 日本での対策はどうか。(社)全日本シーエム放送連盟に聞いた。
「年に一、二回調査を行ない、ほとんどのCMが規定の音量を守っていることを確認しています。また、規定を超えているCMに対しては会報で報告するなどしています」

 でまぁ実際にサイトに行ってみたら結構やっていることのようで。

「放送局におけるCM素材運用について」(ACCtion 121号 2007年12月発行)

現在、在京局でのCM素材登録本数は、月間約1,200本で、日別にみますと少ない日で30本、多い日では80本近くのCM素材をファイリングしています。これらのCM素材をどう運用しているかは以下の通りです。

  1. CM素材を広告会社から受け付け、その素材情報を営放システムへ登録します。(素材は、放送日の4営業日前搬入が原則)
  2. CM素材をCMバンクへファイリングします。
  3. ファイリングされたCM素材をすべて考査します。
  4. タイム・スポットのCM素材指定がすべて完了後、1日分の素材をプレビュー(最終チェック)します。
  5. 使用期間終了後、約1カ月後にCM素材を広告会社へ返却します。

 CM素材のチェックは、(2)のCM素材ファイリング時に、技術的な側面から映像レベル、音声レベル、ノンモン、点滅映像(パカパカ)などを行います。その後、(3)のCM考査作業を行い、各素材が適正であることを確認します。そして、広告会社からの各番組連絡表やスポットスケジュール表に従って素材の指定作業を行い、(4)の最終プレビューで再度CM内容までを確認して、1日分のCM進行表が完成します。

あーポケモンチェックもしてるんだねー。
 音声については

 音声レベルについては、2006年のACC技術委員会でのCM音量調査結果に記載されているように、まだ平均値で+1dB~+2dB(デシベル)の違反素材が全体の60%ぐらいあります。その中でも、VUメーターが常時振り切れるような素材は、完全な不良素材として改稿要請をしています。この改稿要請をする素材は在京局では年間に数本程度あり、この場合は放送間際の改稿要請になり、放送局にとって緊急差し替えということになりかねません。当然ながら、広告会社や制作会社でも改稿のための費用発生や関係者に無用な負担を強いることになります。

 この大きな音の問題は、まだまだ完全とまで至っていませんが、年々改善されつつあることは確かです。放送局には大きな音を保護するためのリミッターという機器があります。大きな音は、番組本編であろうがCMであろうが、このリミッターで過激な音を防ぎます。ただ、このリミッターにかかると歪んだ音になったり、全体的にレベルが抑制された音になってしまいます。これでは、視聴者に伝えたいメッセージも効果はマイナスになってしまいます。

 4年前とはいえそれだけの事情がわかっていながら音量オーバーな素材を納品してくるのかぁ~。
 しかし6割違反となるとBPOに意見が出てくるだけの素地はあると思っていいんだろうなぁ。しかしこういうのは放送倫理の面で放送局側がきちんと枠を作っておかないものなのだろうか。やっぱり客だから大きな声では言えないというテレビ局独特の力関係なのかな。

音声レベルの新基準「ラウドネス」

 さて、前述の記事が2007年ということで、現在はどうなっているのかというと、文春記事では

「今まで番組やCMの音量はボリュームメーターで計測していましたが、今後はラウドネスという単位で計測されることになります。実際に聞こえる音の大きさを反映しやすい単位なので、うるさいと感じることもなくなるはず」([社]日本民間放送連盟)

 ということになってます。実際ラウドネスメーターなるものの開発を進めている記述もあって……

「ラウドネスとは何か?」(ACCtion 130号 2009年9月発行)

 現状ではまだリアルタイムで計測できるとは言えませんが、DSPなどのハードウェアの高速化やソフトウェアの改良などによって、音が鳴ったらすぐにラウドネスが表示できるようにしたいとのこと。技術の進歩は日進月歩なので、遠からずその日が来ることを期待しています。

 2年経った今ならきっと実用可能なラウドネスメーターが完成しているのでしょうね。

でもこの問題、終わんないみたい

 ただラウドネスメーターの完成を待ちながらもこんな不安ものぞかせてます。

 翻って、今のデジタル放送の抱える一番の悩みを考えると、おそらく番組間での音量レベルの違い(レベル差)にあると思われます。
 これはアナログ時代からある“永遠の課題”ですが、多くの関係者の努力で近年はだいぶ解消されたはずなのに、それがなぜデジタル放送になると、よりレベル差が大きくなってしまうのでしょうか?
 一つには簡単に言ってしまえば“パイプの太さ”の問題があります。パイプの細いアナログ放送では送信機にリミッタの設置が義務付けられており、結果として音量の不揃い問題をある程度抑えてきましたが、デジタル放送になるとすべてがデータ化するので法律によるパイプの太さの制限やリミッタの設置義務もなくなってしまうのです。
 
もう一つは音の良いリミッタ/コンプレッサ(圧縮器)などの開発が進み、CMやVTR番組などのパッケージ番組では、制作(MA)時にVU計の振れを抑えながら音量を稼ぐことが容易になったことがあります。しかし、生番組ではこの方法をフルに活用することは大変難しく、同じVU計の振れでもパッケージ番組ほど音量を稼ぐことはできません。

 先述したリミッタはアナログ放送の機器でデジタル機器には意味をなさない(もしくは使わない)っぽいです。
 そして、あらかじめ作るソースについてはチューニングできるものの、生放送でそれはできないためそれぞれの番組をまたげば当然レベルが違って聞こえざるを得ないという原理的な話ですね。
 まったく音声の制御は映像以上に面倒かも。

2011年10月29日土曜日

第616回 東京都青少年健全育成審議会議事録を読む

東京都青少年健全育成審議会 会議資料・議事録
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/09_singi/616/616gijiroku.pdf

不健全図書の指定について

 諮問図書の内容については、第616回東京都青少年健全育成審議会資料を読むを参照のこと。

■■委員
 5誌とも指定やむなしと思います。いずれも家庭の食卓にとても置けない図書だと理解しました。
 整理番号4番の「欲情妻ふしだら浮気話」について、聴き取り調査がありまして、上から6番目のところ「女性器、陰毛、性交箇所の描写すべてが官能コミックのもので、青少年は手に取らない。ゆえに指定該当」、私はこの意見に賛成するのですが、一方で、下から2つ目、「絵が古くさく中年以上向け。青少年にはこの絵では卑わいな感情を感じさせず、指定非該当」同じものを見て、該当なのか非該当なのかというので、これは大変興味深く思いました。私は、上の6番目のほうの意見に賛成をいたします。

 興味深いも何も、これって主観ですが。本当に全員が同じ反応すると思ってるの? つか食卓って。

 前回でも条例の適用項目について不審な点があったけど、今回はその点を突いた質問も。

■■委員
 5誌とも指定で結構です。1つ、事務局に質問したいことがあるのですけれども、1 番の「禁断エデンⅦ」の「引っ越さknight」という漫画が今回該当しておりますね。これはパッとストーリーを見たところ、要するに引っ越し屋さんが強姦している。その中に隣の部屋に住む男性が含まれていて、その男性が実はその女性のことを好きだったというようなことを言って、結果的にその女性と結婚して引っ越して行ってしまうというストーリーですが、これは新基準の「強姦を不当に賛美する」というものに含まないと判断されたと思うのですが、そのあたりの事情を聞かせてください。
青少年課長
 もちろん解釈はさまざまあるかと思います。15ページの指定基準の施行規則をご覧ください。線が引いてあります第2項第1号のところですけれども、「性交又は性交類似行為のうち、次に掲げる行為を、当該行為が社会的に是認されているものであるかのように描写し若しくは表現し」の次でございます。「当該行為の場面を、みだりに、著しく詳細に若しくは過度に反復して描写し若しくは表現することにより、青少年の抵抗感を著しく減ずるものであること。」というところであります。まず、ストーリー性の中で、今回のこのストーリーが、結局、最後は結婚して引っ越して行ったみたいなところが「賛美し」なのかどうなのかについては考え方がいろいろあるかと思うのですけれども、そもそも少なくとも今回のこの漫画については、私が今読み上げた部分の「著しく詳細に若しくは過度に反復して表現する」というところには当たらないと判断しました。少なくとも「反復し」というところに、更に「過度に反復し」という表現に規則がなっておりますので、必ずしも回数だけではないかもしれませんけれども、反復に過度ですから、2回では過度の反復では通常ないだろうと。もちろん、では3回なら指定なのか、4回なら指定なのかということは、必ずしも回数ではないというのは私が申し上げたとおりですけれども、少なくとも、ここの部分には該当しないと判断し、旧基準で■■委員のご指摘の部分については諮問させていただいた、そういう経緯でございます。
■■委員
 わかりました。そうすると、今後、新基準を適用するに当たっては、今回の例を参考にして判断するということでよろしいわけですね。
青少年課長
 少なくとも反復の程度、あるいは詳細な描写の程度というものが、この施行規則に照らし、ご指摘のあった短編ではちょっと至らないというのが事務局の判断です。

 議事録で珍しく作品の内部に突っ込んだ応答が記されている。
 ここで青少年課長は「この作品について新基準に該当しないと判断した」という主旨で回答しているけれども、新基準に該当するか判断したのかどうかはここで質問するまで全然出てこなかったわけで。
 もちろん説明できたからには判断はしたんだろうけどね……でも新基準に該当しないと判断しても旧基準で諮問できて、しかも審議会では通ってしまうって新基準は何のためにあるんですかって。
 いままで新基準を設けるためにあれだけ喧々諤々だった新条例の主旨的に「新基準に該当しないけど旧基準に該当する」図書は存在しないと思うんですがね。

会長代理
 全誌指定で結構です。今のやりとりでもう一度私も聞きたいのですけれども、新基準については、旧基準に該当するから、検討する必要はないということですか。それとも、きちんと検討した結果、新基準を適用する必要はないという結論だったということですか。
青少年課長
「検討」にも様々なレベルがあると思いますが、この審議会の前に新基準での該当可能性も検討しましたが、事務局として、ここに候補としてお挙げするほどの該当性はないと判断いたしました。
会長代理
 判断する以前ではなく、判断した結果ということですか。
青少年課長
 はい。

 本当に「判断」したのかなぁ? 諮問図書を選定する立場上判断しなければならないのは確かなんだけど。

■■委員
 今日、新基準の適用も検討した事例があったということですけれども、これは事務局にお願いですが、新基準の適用も検討したけれども適用しませんでしたという事例があれば、それはできれば漫画を見る前に言っていただいたほうが、そうすれば、今日のように、こういうことだったら新基準は適用しないんだなということがたぶん委員の方もわかると思うのです。それは言っていただいたほうが親切かなと思うので、そうお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
会長
 事務局はそれでよろしいでしょうか。
青少年対策担当部長
 検討したかどうかということですか。
■■委員
 例えば今日の件でしたら、強姦した相手と結婚したかどうか知りませんけれども、一緒になったと。
青少年対策担当部長
 検討といっても非常にレベル感がございますので、今回のものは、事務局として挙げるか挙げないかというほどの検討ではなく、確認はしたということです。
■■委員
 規則まで読むと「繰り返し」ということがあるということはわかったのですが、ただ、文字どおり条例を見ると、適用してもおかしくないなというふうに思ったので、例えばそういうケースは今後もあると思うのですけれども。
青少年対策担当部長
 中身について審議会委員の方に事前に相談するというのもいかがか。
■■委員
 事前に相談するのではなくて、漫画を見るときにちょっと言っていただくだけで、そこを気をつけて見るということになると思うのですが。
会長
 新基準に該当するかどうかを検討しましたとか、これは該当しないと考えたのでそういう検討はしていませんとか。
青少年対策担当部長
 事務局において、これをどうするかというような議論に至る程度のものがありましたときには、そのようにさせていただきたいと思います。
青少年課長
 考えたのかと言われると、考えてそうしております。委員のご指摘で初めてそういう見方もあるのかということではもちろんなくて、我々もそういう見方でものを見たという、私が「検討した」と申したのはその程度のものです。
■■委員
 そこの按配はお任せしたいと思うのですが、事前にわかっていたほうが気をつけて見るという意味ではいいのかなと。
青少年課長
 わかりました。
会長
 では、それは事務局でよろしくお願いいたします。
 ほかにご質問、ご意見等ございませんか。

 常に新基準の検討はしています、とは言っているものの……さてどうなんだか。

専門委員の委嘱について

青少年課長
 専門委員の委嘱についてご報告します。出版倫理協議会のご推薦を踏まえまして、10月1日付けで■■■■さんを審議会の専門委員として委嘱をいたしました。任期は、10月1日から来年の9月30日までの1年間であります。■■氏は、45年間、■■書店で「■■■■」や「■■■■」の編集などに携わられ、今年の8月に■■を最後に■■書店を退職しておられます。専門委員の役目については、いわゆる改正条例の新基準に該当する可能性のある漫画やアニメーション等の芸術性、社会性、学術性、諧謔性、批判性等の趣旨について調査を行っていただいて、報告書を提出していただくとともに、この審議会にご出席いただいて、専門委員としての立場で候補図書について、審議会の参考になるための意見を述べていただくということであります。専門委員には意見聴取後ご退席いただいて、あとはこの審議会の委員の方々でその図書等について議論をしていただくという流れを想定しております。
 なお、10月1日付けで既に委員になっておられますけれども、本日ご議論いただきましたとおり、今月の図書については、いずれも旧基準該当ということですので、今月のものについては意見を求めてはおりません。来月以降、新基準該当可能性のあるものがあれば、事前に意見を伺い、ここにも出席していただき、また、ここに現物をお持ちして、皆様から新基準該当で諮問し、答申していただくかどうかを議論していただくという流れになります。

 どうやら決まったようで。

今月の通報申出
青少年課長
 予告編の上映ですけれども、これはどういうものかといいますと、通常のG指定映画を子どもと見に行ったところ、そこの予告編でR18+指定の映画の予告編をやっていた。それはおかしいのではないかというような申出でございました。これについては、業界に確認をしたところ、18禁の映画の予告編そのものには、残虐な場面といいますか、18歳以下には見せたくない場面は抜きにして編集してあるということでございます。ただ、その予告編をどの映画の前に流すかというところまでは、各映画館の自主的な判断に任せてあるということで、そこまでは指導できないというようなこともありました。条例上も問題のない予告篇であれば、関係者に対し、宣伝するなとまでは申し上げることはありません。以上です。

 なんでこんなん通報してくるのかなぁ……それなりにヤバいものでも写ってたんだろうか。それならその辺も調べてくるはずだけど……。

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