以前からあったけど実際にいつからだったかさかのぼってみると結構前でした。過去2年分では……
番組からCMへ切り替わった際の音量を統一して欲しい。番組内の音量が、突然大きな音になることがあるので驚いてしまいます。寝付いた子どもが起きてしまったりして困ります。2010年4月分より
CMになると音量が上がるような気がする。あまりに騒がしいのでチャンネルを替える。売りたいという気持ちは分からないでもないが、耳に心地よいものではない。番組と同じ音量が良い。2010年3月分より
民放各局のCMの音量について言いたい。番組本編との音の大きさが違いすぎるので、CMのたびに小さくしなければならない。最新の液晶テレビには「ドルビー・ボリューム」という音量調節機能があって、CMに入ると自動的に音量が小さくなるようだ。しかし、テレビがこの機能を搭載するということは、放送局側に問題があるからだと思う。なんとかならないだろうか?2009年7月分より
私の子どもは片耳が聞こえず、テレビ番組を通常より少し大きな音量で視聴するのが常となっている。そのとき大変困るのが、番組本編からCMに切り替わると突然音量が大きくなることです。子どもと一緒に見ていると、両耳が健常な私でも驚くことが多々ある。番組中の音量とCMの音量について調査していただき、 CMの音量についてガイドラインを定めていただければありがたい。以前、画面の点滅で視聴する子どもに異変が生じたことがあったかと思うが、音についても同様な子どもがいることに配慮していただければ幸いです。2009年6月分より
これだけ。1年分としてはまぁ無視はできない数ではないかと。で、最近フランスで「テレビ番組とCMの音量を同じにせよ」という法律ができたのだそうで。
テレビ番組とCMの音量を同じにせよというフランスの法律(THIS WEEK 放送) - 週刊文春 - 文春.jp
「テレビCMの音量を番組本編と同じにせよという法律。違反した企業には売り上げの三%相当の罰金が科せられます」(CM製作会社関係者)
結構厳しいようです。
問題は日本ではどうなの?という話なんですが、意外としっかりやってはいたようで……
日本での対策はどうか。(社)全日本シーエム放送連盟に聞いた。
「年に一、二回調査を行ない、ほとんどのCMが規定の音量を守っていることを確認しています。また、規定を超えているCMに対しては会報で報告するなどしています」
でまぁ実際にサイトに行ってみたら結構やっていることのようで。
「放送局におけるCM素材運用について」(ACCtion 121号 2007年12月発行)
あーポケモンチェックもしてるんだねー。現在、在京局でのCM素材登録本数は、月間約1,200本で、日別にみますと少ない日で30本、多い日では80本近くのCM素材をファイリングしています。これらのCM素材をどう運用しているかは以下の通りです。
- CM素材を広告会社から受け付け、その素材情報を営放システムへ登録します。(素材は、放送日の4営業日前搬入が原則)
- CM素材をCMバンクへファイリングします。
- ファイリングされたCM素材をすべて考査します。
- タイム・スポットのCM素材指定がすべて完了後、1日分の素材をプレビュー(最終チェック)します。
- 使用期間終了後、約1カ月後にCM素材を広告会社へ返却します。
CM素材のチェックは、(2)のCM素材ファイリング時に、技術的な側面から映像レベル、音声レベル、ノンモン、点滅映像(パカパカ)などを行います。その後、(3)のCM考査作業を行い、各素材が適正であることを確認します。そして、広告会社からの各番組連絡表やスポットスケジュール表に従って素材の指定作業を行い、(4)の最終プレビューで再度CM内容までを確認して、1日分のCM進行表が完成します。
音声については
音声レベルについては、2006年のACC技術委員会でのCM音量調査結果に記載されているように、まだ平均値で+1dB~+2dB(デシベル)の違反素材が全体の60%ぐらいあります。その中でも、VUメーターが常時振り切れるような素材は、完全な不良素材として改稿要請をしています。この改稿要請をする素材は在京局では年間に数本程度あり、この場合は放送間際の改稿要請になり、放送局にとって緊急差し替えということになりかねません。当然ながら、広告会社や制作会社でも改稿のための費用発生や関係者に無用な負担を強いることになります。
この大きな音の問題は、まだまだ完全とまで至っていませんが、年々改善されつつあることは確かです。放送局には大きな音を保護するためのリミッターという機器があります。大きな音は、番組本編であろうがCMであろうが、このリミッターで過激な音を防ぎます。ただ、このリミッターにかかると歪んだ音になったり、全体的にレベルが抑制された音になってしまいます。これでは、視聴者に伝えたいメッセージも効果はマイナスになってしまいます。
4年前とはいえそれだけの事情がわかっていながら音量オーバーな素材を納品してくるのかぁ~。
しかし6割違反となるとBPOに意見が出てくるだけの素地はあると思っていいんだろうなぁ。しかしこういうのは放送倫理の面で放送局側がきちんと枠を作っておかないものなのだろうか。やっぱり客だから大きな声では言えないというテレビ局独特の力関係なのかな。
さて、前述の記事が2007年ということで、現在はどうなっているのかというと、文春記事では
「今まで番組やCMの音量はボリュームメーターで計測していましたが、今後はラウドネスという単位で計測されることになります。実際に聞こえる音の大きさを反映しやすい単位なので、うるさいと感じることもなくなるはず」([社]日本民間放送連盟)
ということになってます。実際ラウドネスメーターなるものの開発を進めている記述もあって……
「ラウドネスとは何か?」(ACCtion 130号 2009年9月発行)
現状ではまだリアルタイムで計測できるとは言えませんが、DSPなどのハードウェアの高速化やソフトウェアの改良などによって、音が鳴ったらすぐにラウドネスが表示できるようにしたいとのこと。技術の進歩は日進月歩なので、遠からずその日が来ることを期待しています。
2年経った今ならきっと実用可能なラウドネスメーターが完成しているのでしょうね。
ただラウドネスメーターの完成を待ちながらもこんな不安ものぞかせてます。
翻って、今のデジタル放送の抱える一番の悩みを考えると、おそらく番組間での音量レベルの違い(レベル差)にあると思われます。
これはアナログ時代からある“永遠の課題”ですが、多くの関係者の努力で近年はだいぶ解消されたはずなのに、それがなぜデジタル放送になると、よりレベル差が大きくなってしまうのでしょうか?
一つには簡単に言ってしまえば“パイプの太さ”の問題があります。パイプの細いアナログ放送では送信機にリミッタの設置が義務付けられており、結果として音量の不揃い問題をある程度抑えてきましたが、デジタル放送になるとすべてがデータ化するので法律によるパイプの太さの制限やリミッタの設置義務もなくなってしまうのです。
もう一つは音の良いリミッタ/コンプレッサ(圧縮器)などの開発が進み、CMやVTR番組などのパッケージ番組では、制作(MA)時にVU計の振れを抑えながら音量を稼ぐことが容易になったことがあります。しかし、生番組ではこの方法をフルに活用することは大変難しく、同じVU計の振れでもパッケージ番組ほど音量を稼ぐことはできません。
先述したリミッタはアナログ放送の機器でデジタル機器には意味をなさない(もしくは使わない)っぽいです。
そして、あらかじめ作るソースについてはチューニングできるものの、生放送でそれはできないためそれぞれの番組をまたげば当然レベルが違って聞こえざるを得ないという原理的な話ですね。
まったく音声の制御は映像以上に面倒かも。
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