2012年2月29日水曜日

第620回 東京都青少年健全育成審議会議事録を読む

第620回 東京都青少年健全育成審議会議事録
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/09_singi/620/620gijiroku.pdf

不健全図書指定の審議

 中身は資料参照。やっぱり4番目の「裏ワザ大全2012」が今回の中心に

■■委員
 全部指定でお願いします。特に4番目は、前期のときにもこういう本が出てきたと思いますけれども、これは子どもだけじゃなしに、大人に対しても、こういうものが存在していいのかなと。出版できないようにする、そういう対策も必要ではないかぐらいの気持ちではあります。

■ ■ 委員
 私も4 誌指定でお願いします。■ ■ 委員と同じで、4 番目に関しては、出版界からの聞き取り内容でも「ネットでは無料で、さらに詳細な情報も得られ心配」ということが書いてある。こういうネットでの情報を消すということはできないのですか。そのぐらいしてもいいかなと思います。

■■委員
 1つずつ順番に言わせていただきます。
 1つ目は、確かにBLという雑誌の特異上、私は男性なので性的感情があまり刺激されないのかもしれませんが、とはいっても、他の雑誌に比べて、先ほどの付箋を貼った場所を見ても、明らかに単行本としての付箋している数はほかに比べて少ないという状況を考えますと、これは非該当でいいと思っています。
 2番目の「やわらかおんなのこ」は、確かに性的感情を刺激する部分はありますが、委員会等における局の答弁でも、現状の条例自体が18歳でしか区分ができていないということを考えますと、基本的には、18歳のところでラインを見てほしいということが言われておりましたので、ちょっと微妙なラインだなと。つまり、18 歳、いわゆる高校生の子たちが読んでいけないかどうかを考えると、ちょっと微妙だなと。これは条例自体の不具合の問題があって、小・中学生なら確実に私も指定ですけれども、高校生まで含めて、それを完全に指定していいのかどうかというところで判断は迷いますので、私はこれは保留にさせていただきたいという気がいたします。
 3番と4番は、指定該当でいいと思います。特に、4番は逆に成人指定ということを付けることによって、成人なら見てもいいという誤解を与えるのはいかがなものかという気もいたしますので、むしろ販売中止ぐらいに追い込みたいというような気持ちであります。先ほど話が出ていたインターネットにつきましては、現状、技術的に不可能だと思います。というのは、この本の内容ではなくて、他の外国のサーバを使ったりして出しているものについては、日本の法律だけで取り締まれない部分もありますし、それは実はほかの性的なものも含めてですけれども、インターネット自体はなかなか厳しいだろうけれども、それはこれから考えていかなければいけないことだろうというのが意見です。

■■委員
 4誌とも指定でいいと思います。4番目については、三才ブックスというのがどういう会社か私はわからないけれども、大体数年に一度、こういうたぐいのものが出ますが、これは店頭から消えてほしいという気持ちは同じですけれども、それを捕まえることはちょっと難しいのではないかという気がします。具体的には、発行停止のようなことは非常に厄介なことになりますので、お話に出ていたように、大人なら見ていいかというのも、むしろ大人が見たらさらに危ないという本なので、これは部数もたぶんものすごく少ないという気がしますし、指定をしておいて、ほぼ店頭からなくなればいいのではないかという気がいたします。

会長代理
 4誌指定で結構だと思いますが、1番目については、われわれは非常に露骨なもの見過ぎているせいか、今までのものと比べたらずいぶんソフトじゃないかという、業界の聞き取りにもありますけれども、この手の漫画については、売ってはいけないということではなくて、成人用というところで売るのがよろしいのではないでしょうかと、そういう基準で考えて、事務局の方が諮問してこられたものに対して反対する理由はないと考えております。

 へぇ、ヤバいところは付箋貼ってあるんだ。それどこにあるのか見たいねぇ。
 しかし本当に「存在していいのか」「販売中止に追い込みたい」「店頭から消えてほしい」とか言っちゃうんだね。ここらの人。すべてが専門家でもないしみんな「良識ある市民」だもんね。きっと

青少年課長
報告の前に、先ほど議論がございました4番目の諮問図書について、補足説明をいたします。
これは大人にも売るべきではないとか、販売停止にすべきではないかというお話がございましたが、これが個人の具体的な犯罪を助けるものであれば、本を売ること、あるいは書くことそのものが犯罪の「幇助」として問題になる可能性があると思います。
ファイル共有ソフトのWinny の開発者が、著作権法違反の幇助に当たるとした事件で一審では有罪判決が出ましたけれども、最終的には、最高裁で無罪が確定しました。
これは、簡単に言いますと、著作権法違反を助長している可能性はあるけれども、開発そのものが具体的な誰かの犯罪をピンポイントに狙って、あるいは大量に違反が行われることが初めから分かっていながら共有ソフトを開発したわけではないということで、一審、二審で判決が分かれたのですが、最終的には無罪になったということです。
ですから、この手の本は、犯罪を助長するような内容であることは間違いないと思いますが、書いたから、売ったからといって、書くことそのものが犯罪ではない以上は、「表現の自由」や「出版の自由」の観点から販売そのものを規制することは現行法令においてはできないと考えられます。ただ、分別の未熟な青少年が読むと影響されやすいから、せめて子供の目の届くところに置くべきではないということで、今回指定をさせていただいて、区分陳列をしていく形になろうかと思います。
また、■■委員からもご説明があったインターネット上のこの手の問題で、確かに外国にサーバがあったらどうかとか、いろいろ難しい問題がありまして、政府全体も含めて対応が後手後手に回っている面があるのかもしれません。ただ、インターネット協会というところで、インターネット上の違法、有害な情報というものについて、ネットユーザーから広く情報を集めているというものがあります。これは警察庁から委託を受けた事業の一環で、インターネットを利用している人が、載っていることそのものが犯罪である、あるいは載っていることは犯罪ではないけれども、こんなものを世の中にまき散らすのはいかがかという、ポルノ的なものも含めた有害情報については、インターネット協会にURLを送って通報する。そして、インターネット協会で必要な確認をして、犯罪情報であれば警察に情報提供しますし、犯罪ではないということであれば、インターネット協会から、その情報が載っている元のプロバイダなどに削除要請をするという仕組みはあります。あくまでこれは自主的な取組ですので、特に有害情報については、通報があったからといって直ちに削除されるわけでもありませんし、当然、有害情報を載せることは犯罪ではないので取り締まれるわけではありませんが、国でそうした取組があるということは参考までにご報告をさせていただきます。

 そして、あの青少年課長に窘められてる……しかしインターネットの情報ってインターネット協会が犯罪性を決めるのか。

 しかしまだ食い下がる委員が……

■■委員
 先ほどの4冊目の話で、ここは青少年健全育成審議会なので、答申という形で指定してくださいという形で出すのでしょうけれども、もし可能であれば、これは相当悪質だと思われるので、本の中には「防犯意識を高め」とか何とか書いていますけれども、実際の記事をちゃんと読むと、その記事の内容どおり見事にできてしまうみたいな、明らかにこれは簡単にできるよみたいなことも普通に書いてありますし、そう考えると相当悪質だなという気もしますので、そういう意見を付すことができるのかどうかということです。つまり、諮問への答申にプラスαの意見を付けることができるかどうかという確認が1つ。
 それから、たぶん20年以上前ですが、たしか「悪のマニュアル」という本があって、当時は、コインに何かを巻いて自販機に入れてお釣りを出せば5円玉が500円玉になるみたいな話があったり、あるいは、何かをコインの口から流し込むと、機械が故障してジャラジャラお金が出てくるとか、そのような手口が山ほど載っているものがあったり、自殺のマニュアルというのもあったか、一番苦しまずに死ねる方法が山ほど載っている。この辺の本は、たしか発禁処分になったのではないかと思うのです。もしくは、裁判で争って、最終的な結論を私が知らないだけなのかもしれませんが、一回どこかで発売が中止になるような騒ぎがあったように記憶しているのですけれども、それももしわかれば、その2点を教えていただきたいということです。

青少年課長
 2点目については、過去の類似のものが、東京都に限らず、どういう経緯があったかについては、可能な限り確認して来月ご報告させていただきたいと思います。
 1点目につきましては、条例上の扱いとしては、あくまで不健全図書としての指定ですので、例えば公示文書に特に「悪質」とかを付けることはできないと思います。ただ、諮問に対する答申ということで、今回既に答申をいただいたということになるかもしれませんが、この審議会として、都に対して附帯決議のようなものを審議会の方のご意見として都にいただくということは可能かもしれません。ただ、この本につきましても、指定後に発行業者を呼びまして、委員会での委員の方のご発言等も含めて、指導を当然していくということにはなっておりますので、今、委員からあったことについても出版社には伝えたいと思っております。

■■委員
 会長にお願いしたいのですけれども、皆さんに聞いた上でですが、もし可能であれば、公表されるか否かは別として、審議会として、この4冊目については、これは大人が読むべきものでもないというような少し強めのきちんとした意見を付すことを諮っていただきたいのですが。

 必死だなぁ、この人。

■■委員
 大人も読むべきではない、ろくな本ではないことはもちろん承知の上ですが、ただ、当審議会はそういうことを審議する会ではないので、私たちの権限を逸脱した話だと思いますので、そうすべきでないと思います。

会長代理
 議論が非常に複雑になるというか、違う方向にいきかねないというところもありますので慎重にしたほうがいいと思います。というのは、■■委員がおっしゃったように、われわれは基本的には表現の自由とのギリギリのところの中で、出版物に対して、だめだという権限はなく、もともと事務局からの、こちらからこちらは成人向け、こちらからこちらは一般図書という区分陳列までの権限の中で、諮問内容がいき過ぎかどうかをチェックするのがわれわれの立場でありまして、この手の犯罪を助長しかねない本が諮問されてきたときに、販売そのものを停止させるような意図をもって不健全図書に指定するというのは、やはりこの審議会の役目ではなく、しかも、東京都の条例に対して批判的な意見をお持ちの方から、やはりそういう意図の審議会ではないかと見られかねないところがありますので。

■■委員
 来月に報告があると思いますけれども、「完全自殺マニュアル」を含めて、発禁になったということは聞いていません。発禁処分になるというのは、刑法第175条違反の容疑以外ではちょっと聞いたことがないですね。ただ、「完全自殺マニュアル」は、都に指定されたことによって、新聞を含めて、いろいろなところが取り上げましたので、すごく話題になったんですよね。ですから、先ほど申し上げたように、出版社は私知りませんけれども、これももしかすると指定することによってすごく話題になるたぐいの本だろうと思います。それで、一般の人が議論すれば、それでいいのではないか。日本の場合は、どなたかが判断しようと、発禁というのは簡単にできることではありませんので、まずないと思います。

 会長代理は審議会の存在意義がわかってるなぁ。まぁ議事録で名前が残る数少ない人でもあるんだけど。

■■委員
 ちょっと誤解がないように。私は別に発禁処分にしろという意見を付けてくれという意味ではなくて、要は、これは成人指定ですという形でただ出すのではなくて、成人指定したことによって認めたことになるという誤解を産みたくないということですので、別に大人が見ていいというレベルではないという意見を付したらどうかという意見です。ただ、■■委員がおっしゃることも確かにそのとおりだと思います。この審議会の役目は、あくまで分けるところだということであれば、付けないという判断であれば、別にそれがだめだと私は思っていません。1つの提案として出しただけですから、そういう判断でいくというのであれば、それはそれでいいと思います。

 そんなツンデレは認めん。成人が読めなければ結局誰にも読めない本になるじゃないか。

都民からの通報申出

青少年課長
 1件目は、残虐な描写のあるテレビアニメについてということです。
 具体的には、東京MXテレビで深夜に放送されている「未来日記」というアニメの中で、中学生が警察官を射殺して、逮捕もされずに無罪放免されているというような内容で、そんなものは犯罪を助長する、肯定するというもので容認できないという申出でございました。実際、当該場面を確認いたしましたが、犯罪を助長するというところまでには至らないのではないかと判断をしたところであります。これについては、放送倫理番組向上機構(BPO)に、情報提供をさせていただいております。

 BPOに通報したのか。それは楽しみだな。東京都からだと無下にできないんじゃないだろうか。

青少年課長
 それから、2件目は、メールによる申出で、漫画雑誌のグラビアについてであります。具体的な申出の内容は、「ヤングマガジン」とか「ヤングジャンプ」といった漫画雑誌に、女性を裸にしているグラビアが載っている。そんなものはモラルにも反するし、未成年向けにいかがなものかというメールでございました。ただ、具体的に何月何日号とかは不明でしたが、事務局で最新の青年向け漫画雑誌を何冊か購入して確認した結果、水着もつけていないような裸のグラビアは少なくとも載っておりませんでした。

 ウソを通報するな。ウソをw

専門委員のご紹介

 新条例の新基準に相当する図書が出た場合に意見を出すことになっている専門委員、今まで出番がなかったんですがいい加減顔くらいは合わせといた方がいいということでご来訪とのこと。
 とりあえずこちらでは情報提供済み。さて、出番は来るのだろうか。出番がないとしたら新条例って何だったのだろうか……



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