2012年6月15日金曜日

【欠番扱い】原口一博元総務大臣の「BPOに意見してはいけない」という取り決めは本当なのか?

注意:えふすくの未熟な法律の読み方によって、検証に不完全なところがありました。この記事は欠陥記事です。

 この検証は間違っています(そのほうがわかりやすい)ので、そういう話を期待されていた場合はこの時点で読むのを終了していただいて結構です。ご足労申し訳ありません。

 法律についての知識が未熟なまま読み取ってしまったために不完全な検証を行ってしまいました。
 本来なら記事を削除してするべきなのですが、有用なコメントもいただき、こちらもこういう文章を書く上で学ぶ点が多くあったのであえてこのような形で残すことにしました。

 

 

 

 

 

 

 

根本はここみたいなので

nobby@tumblr, 【テレビ】「今回の騒動はかなりの痛手」高岡蒼甫氏の韓流押し批判騒動でフジテレビにスポンサー離れか★53...
http://nobby0-0.tumblr.com/post/8426083540/53

786 :名無しさん@恐縮です:2011/08/03(水) 14:51:27.97 ID:371/0m020
039 名無しさん (2011/08/03(水) 11:56:39 ID:dh82QZIacI)
総務省に電話した

666+3 :名無しさん@恐縮です [] :2011/08/03(水) 03:53:26.94 ID:KgOuKPyJ0 [PC]
「最近フジテレビが番組内で韓国の話題ばかりしているんですけどご存知ですか?」
「ええ、そう言ったお話は良く聞いております。」
「ジャスラックの作品探索で権利者フジパシフィック音楽出版、 アーティスト名を後方一致で(韓国)で探索すると1200件も表示されるんですけど。」「ええ。」
「これって自社の利益のために番組内で宣伝してるんじゃないですか?」
「その可能性はあります。」     
放送法51条の2で「広告は広告であることを明らかに認識できるようにしなければならない」 ってあるんですけどあきらかにこれに違反してるんじゃないですか? ぜんぜん知名度ないのに芸能ニューストップで報道したり、集まったファンの人数水増しして知らせたり かなり悪質だと思うんですが、指導なりなんなりされないんですかね。」
実はですね・・政権交代してからですね。放送局、BPO等自分たちで対処するので 総務省から意見を言ってはいけないっていう取り決めが出来たんです。 最初は民主党のマニフェストにあったようにですね、もっと開かれた形にしようって事だったんですけど だんだん変わってきまして最終的にこのように決まってしまいました。」
誰がそんなこと言い出したんですか?
原口元大臣です。 こちらもですね、意見は言うつもりですけど、 上の者がハンコを押してくれないとどうしようも出来ないのです。ご理解下さい。」

BPO絡みの盛り上がり(今回は大谷昭宏の「殺傷事件のあったヨーロッパ村は日本橋に近いのでオタク文化との関連を」云々発言)のたびにTwitterに上がってくるこのネタに注目してみました。

まず「放送法51条の2」ってなんなのさ(欠陥注意)

放送法を見てみました。

第五十一条  会長は、協会を代表し、経営委員会の定めるところに従い、その業務を総理する。
 副会長は、会長の定めるところにより、協会を代表し、会長を補佐して協会の業務を掌理し、会長に事故があるときはその職務を代行し、会長が欠員のときはその職務を行う。
 理事は、会長の定めるところにより、協会を代表し、会長及び副会長を補佐して協会の業務を掌理し、会長及び副会長に事故があるときはその職務を代行し、会長及び副会長が欠員のときはその職務を行う。
 会長、副会長及び理事は、協会に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは、直ちに、当該事実を監査委員に報告しなければならない。

……すみませーん。教えてください。なんでこれが「広告は広告であることを明らかに認識できるようにしなければならない」になるんですか?

追記② コメントより、「これは『51条2項』をさすもので、『51条の2』とは別の場所である」というご指摘をいただきました。実際その通りで、全く申し訳ありません。

追記③ コメントより、放送法は2011年6月30日に大幅に改正されています。これは元の構造がわからなくなるほどのものでそれ以前の法律の形がわからないと「51条の2」が本来どのような条文だったかわかりません。
また、上記の会話の2011年8月3日現在では改正を知らずに話していたとしてもおかしくないのでこの会話自体が正しかった可能性が大きくなってきました。いや現在の放送法12条には記述があるので、正しいと思って進めたほうがいいでしょう……

たぶん民放連放送基準の51条なんだろうなぁということで。

(51) 劇的効果のためにニュース形式などを用いる場合は、事実と混同されやすい表現をしてはならない。
番組やコマーシャルで劇的効果を上げるために、ニュース形式、例えば「臨時ニュース」「緊急情報」「ニュース」「天気予報」「交通情報」あるいは「時報」「緊急車のサイレン」などを用いる場合は、事実と混同されないように配慮しなければならない。
適切な配慮を欠くと、著しく人心を動揺させることがある。特にラジオでは慎重な配慮が必要である。
また、無線電信信号を使う場合は、一般の無線信号と混同されないようにする。なお、SOSモールス信号は、1999(平成11)年2月1日にGMDSS(海上における遭難及び安全に関する世界的な制度)によりデジタル信号に切り替えられ、国際的な遭難通信信号としては使われなくなったが、モールス通信そのものは残っているので使用には配慮が必要である。

条文としては最初の1行だけで、残りは具体的な例を挙げてるだけ(テレビ東京の場合)だと思いますが、まぁこれだなぁと。

しかしこれだと「法律」になっていないし、違反した場合の罰則について何も書いてないですよね。
政府ってのはあくまで法律に基づいて動くわけで、これに違反したから総務省が動くってモノではないように思います。

もうこの時点で上記の会話をソースにするのはおかしいわけですが……

じゃあ、どんなときに動くのかというと……(欠陥注意)

あくまで放送法では「第二章 放送番組の編集等に関する通則」というところにまとめられていて、

第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
 公安及び善良な風俗を害しないこと。
 政治的に公平であること。
 報道は事実をまげないですること。
 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

主にこの第4条が番組の内容について法律で定めているところで、しかも放送法上の罰則は見たところありません。
よって総務省が違反していると判断した場合は行政指導・行政処分しかできません。

追記① コメントより、第12条にその記述があるというご指摘をいただきました。最下段に【追記】した通り、そのものズバリの条文が存在しました。

TBSに「重い」行政指導 総務省、点滅で民放78社も
http://www.47news.jp/CN/200606/CN2006062001003824.html

TBS系の健康情報番組で放送した白インゲン豆ダイエット法を試した視聴者が、嘔吐(おうと)や下痢などの健康被害を訴えて入院するなどの被害を出した問題で総務省は20日、TBSに対し文書による警告の行政指導をしたと発表した。  総務相名の警告は行政指導では最も重い。総務省は「同様の問題をまた引き起こした場合、電波停止などの行政処分もあり得る」としている。  
番組での光点滅違反もあり総務省は、NHKと民放78社に行政指導を下した。  
TBSの問題となった番組は、5月に放送した「ぴーかんバディ!」。いった白インゲン豆をご飯にまぶして食べるダイエット法を紹介した。TBSは「警告を厳粛に受け止め、再発防止に向けて全力を傾ける」とコメントした。

総務省、TBSに厳重注意 報道に「重大な過失」(2009年6月5日 朝日)
「TBSテレビ『ニュースキャスター「二重行政の現場」』に関する委員長談話」を読む。より

 番組は4月11日に放送。国道と大阪府道の清掃作業をめぐって、通常は行っていない作業を業者に依頼。国と地方の「二重行政の現場」として報道した。総務省は事実を正しく報道していなかったと判断。放送法に抵触する疑いがあり、「番組編集で求められる注意義務を怠る重大な過失があった」と結論づけた。あわせて再発防止策を3カ月以内に提出するよう求めた。

どちらもTBSというのがアレですが前者は第4条の一、後者は第4条の二と三に抵触したと考えるのが適当な感じです。
法律的には番組の内容に違反しても罰則がないうえに、免許を取り消す方法もない(無線局免許手続規則)ようなので、放送局に対して一番強力な行為としては電波を出すのを禁止する行政処分しかないようです。

実際この2009年の指導の後、政権交代で原口大臣になり、それ以降の行政指導はありませんが、ネット上ではフジの韓流騒動などテレビに関するいろいろな不信を募らせる事件が多かったのでなぜ動かないのか、という不満が出るのは当然かと思います。しかし本当に公権力が番組内容にまで介入するのを認めるとなるとそれはそれで問題だと思います。
要は東京都青少年健全育成審議会みたいなのができてテレビ番組全般にあんな感じで審議されなきゃならないわけですよ。まぁ実態は権力持っただけのBPOみたいな感じになると思いますが、それもそれで怖い。

だからBPOは最初から何の権力もないんだってば

BPOは任意団体です。それも民放とNHKから多額の支援を受けている(つーかそれで成り立ってる)自称「自主規制団体」です。
それなのに広報のために民放からCM枠を買っているという不思議な一面もあります。

BPOは自前では放送局を持っていないので「放送局」ではありません。だから総務省から放送法に関する行政処分を受けるわけもありません。
問題の会話における「放送局、BPO等自分たちで対処するので 総務省から意見を言ってはいけないっていう取り決め」はBPOに関しては最初からなかったしこれからもないでしょう。
だから下記のケースでは総務省もBPOが審議中だからといっても「知らねーよ」で、行政指導を出すわけで、それに文句を言うBPOの方が本来はおかしいと言う構図になります。

BPO、総務省の行政指導に懸念を表明、TBS情報番組問題で
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20090721/168677/?rt=nocnt

 TBSテレビは4月11日の番組で、国と自治体の二重行政の現場として大阪府の清掃車が、府道と国道の交差点でわざわざブラシを上げて横断すると報道したが、同月25日には表現に行き過ぎがあったと謝罪した。BPOは5月15日にTBSテレビへの質問状の提出を決定し、番組に関する討議を進めていたが、その最中の6月5日に総務省が行政指導を行った。
 BPOでは、総務省が放送局に対して強大な権限を持つ以上、行政指導がもたらす表現の自由の萎縮(いしゅく)効果について慎重に配慮すべき立場にあると指摘。放送界側の自主的、自律的機能の発揮が期待できるかぎり、その結果を基本的に尊重することが総務省のあるべき態度だと主張した。

まぁ言ってることは間違ってないんですけどね。今視聴者の中のどれくらいが「放送界側の自主的、自律的機能の発揮が期待できる」と思ってるのかは気になりますね。
あと「行政指導がもたらす表現の自由の萎縮(いしゅく)効果について慎重に配慮すべき立場にある」は東京都にも言ってやってくださいって感じでしたが。

結論としては何だって?

BPOに関しては最初から意見なんかしたこともないし、これからもしないだろう。
放送局に関して指導しないのは最初から法律にそんなもの(民放連の放送基準)の違反を咎める条文がないからだ。

って言ってみたかっただけ。
とりあえずもう一回、誰か総務省に電話してみればいいんじゃないかな?

【追記】「放送法上にはない」と書いちゃいましたが、コメントで「第十二条」に記述があるとのことで読み直してみたらありましたw

(広告放送の識別のための措置)
第十二条  放送事業者は、対価を得て広告放送を行う場合には、その放送を受信する者がその放送が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければならない。

 とはいえこの会話の時点での放送法は現在と変わっていないのとこの12条に「2」はないので、やはり「51条」は民放連の放送基準のことを言っている可能性が大です。
 とりあえず総務省には放送法に基づいて行政指導する根拠は存在するようだ。という点をお詫びします。
 こういうことやってると外部からのツッコミも少ないのできちんとしたご指摘には感謝いたします。

 うーん、そうなると「取り決め」があるかないかを示す物証がないとどうにもならないなぁ……

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

(広告放送の識別のための措置)
第十二条  放送事業者は、対価を得て広告放送を行う場合には、その放送を受信する者がその放送が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければならない。

たぶんこっちを指してるんだと思います。法改正やらで変わったんでしょう。ただ,平成二三年六月二四日の時点で今の形になっているのでなんとも。

もっともBPOの位置づけとしてそんな心配もいらない訳ですが。

匿名 さんのコメント...

平成23年6月30日に施行された、平成22年法律第65号で、第五十条の二が第十二条に移っております。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/17620101203065.htm
・第五十条の二を削る。
・第一章の二中第五条を第十条とし、同条の次に次の四条を加える。
(略)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000119557.pdf

まあ「電話した」ってのがひと月ちょっと以上昔(つまり6月30日より前)の話でなければ、条文違いであることには違いないですが。

ちなみに、本文中で参照されているのは五十条二項で、「五十条の二」というのは
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/japanese/laws/broad3a_rev98.html
こういう位置づけのものです。
つまり、五十条と五十一条の間に挿入される新たな条が、「五十条の二」ということで。
(ご参考)
http://www.ceres.dti.ne.jp/chu/law/toku_044.htm

(「ちなみに」以降の豆知識を書きたかっただけの人)

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