2011年1月24日月曜日

第608回東京都青少年健全育成審議会会議資料とかを読む。

第607回東京都青少年健全育成審議会議事録を読む。
 第607回東京都青少年健全育成審議会議事録
 審議過程そのものはストレートに全員一致でした……。
 今回のポイントは「その他の報告等」について。
○青少年課長 議事(3)「その他」についてご報告いたします。
 14ページをご覧ください。11月1日から11月30日までに受理いたしました都民の申出でございます。電子メールによる申出が2件ございまして、内容は、猥せつアニメ等の販売について及び猥せつ図書の即売イベントについてでございます。
 このうち前者につきましては、都民の方からのメールによるご通報で、猥せつなアニメ、幼女に係るアニメや実写を販売しているサイトがあって問題ではないかというご通報でございました。そのため、当該サイトについて確認いたしましたけれども、トップページに21歳以上の方だけが閲覧できるような年齢制限がしてありました。また、実写につきましては、そこに載っている限りで見ますと、本物の子どもではなくて、一見して成人女性である方がロリータ系のファッションをしてのDVDと明らかにわかるものでございました。それから、商品を購入する際には、会員登録をして、その際に年齢確認をするという仕組みになっていましたので、このサイトにつきましては、条例の趣旨から申しまして、特に問題はないものと判断いたしました。  それから、後者の即売イベントにつきましては、これはいわゆる同人誌の即売イベントというもので、児童を対象とした成人指定漫画だけの展示即売会があることについてのご通報といいますか、情報提供がございました。同人誌につきましては、もともと条例で規定しております図書類販売業者には当たらないということで、このような同人誌イベント等につきましては、条例の趣旨をよくご理解いただきたいという旨にとどまっておりまして、今回につきましても、念のため、その旨を主催者にご確認を申し上げたところでございます。
 ポイント① 「東京都青少年健全育成条例」のWebサイトに対する「東京都の管轄範囲」ってどこまでよ?
 Webサイトを規制しようとする時点で必ず挙げられる「いったいどこまで監視するつもりか」という問題。
 ここではさらりと「確認して問題なし」と報告されているが、もっと穿った見方をすれば「任意の1サイトで通報があれば確認のために見に行き条例に違反してないか判断する」ということを示したのであって、東京都の青少年課は広大なネットをどこまでも相手にする気らしい。
 普通の官僚ならまずはそのサイトが自分の管轄に入るのかどうか(確かにネットにはそぐわない概念だけど)をまず確認するのがパターンだと思うのだが、この辺が警察官僚の流れを汲む青少年課の他とは違う点なのかも(本来猥褻事案なら警察が扱う事案であって、その通報が東京都に来る・そして扱うこと自体も何かおかしいし)
 ポイント② 「同人誌」に対する今のところの考え方
 ここは他でも言われている通り「同人誌のイベント頒布は(条例による)販売には当たらない」ということで。
 まぁ条例に書かれていないので例えば同人誌が商業誌の隠れ蓑にされるような事態になればいくらでも方向転換の利く部分ではあるでしょうが。

第608回東京都青少年健全育成審議会会議資料を読む
 諮問図書類指定基準該当箇所一覧表
 諮問図書:自主規制団体からの意見聴取結果
BAMBOO COMICS VITAMAN SELECT ラブandプレイ
 ※竹書房の青年コミック誌サイト ドキドキNavi(ちょっとだけ画像あり)
  • 修整はされているが、性描写が多い。指定やむなし。
  • 修整はされているものの、全編にわたり性描写があり指定やむなし。
  • 消しはあるものの性行為場面が多く、擬音も激しい。指定やむなし。
  • 性器の描写は少ないが、体液、擬音が多く、指定やむなし。
  • 性交シーンは比較的修整されているが、体液、擬音、隠語が多用されていて卑わいに感じる。指定やむなし。
  • コミカルだが、露骨な描写がいくつかあり、卑わいな感じを与える。指定やむなし。
  • 擬音や体液、性器描写等が多くあり、指定やむなし。
  • 性行為中の性器は消してあるが、その修整がかえって効果が出るように描かれている。判断が難しく、保留
  • ギャグマンガにしか読めず、性的感情を刺激するとは思えない。ただし、一部の描写に過激なところや擬音が多かったため、総じて保留
  • SEX描写は多いが、すべての絵がデフォルメされていて、リアリティがなく卑わい度は高くない。指定非該当
  • 全編にわたり性交シーンが多いが、局部には消しも施されており、全体的にコミカルに描かれている。リアリティに欠け、あまり性的感情を刺激するとは考えにくい。指定非該当
  • 性器そのものはほとんど描かれておらず、全体的なタッチもやわらかい。それほど刺激的でなく、指定非該当
  • 修整がしっかりされている。特に過激な表現がされているとも思えず、指定非該当

赤-指定やむなし:6 緑-保留:3 青-指定非該当:4

 赤と緑+青が半々といった印象。
 擬音・体液などが指摘されているものの、画像見る限りまぁ普通にエロ本なので……

裏ワザ大全2
 ※三才ブックス(詳細)
  • 刑法など法に触れる行為が多く記載されており、指定やむなし。
  • 反社会的犯罪マニュアルである。青少年に限らず有害だと思う。指定やむなし。
  • 犯罪から守るためにあえて記載してあるとされている項目もあるが、犯罪の助長性という観点でみれば、指定やむなし。
  • 青少年に限らず問題があるのではないか。指定やむなし。
  • 犯罪を誘発し、模倣できることから、青少年に限らず成人に対しても害があるのではないか。指定やむなし。
  • 技術的な部分で実行性は強く感じるが、影響力の範囲について考えると、青少年に限定されないので判断が難しい。総じて保留
  • この手の情報はインターネットやその他のツールでも利用されている。青少年だけでなく、大人が実行しても違法にあたるので、青少年だけ規制するのはどうなのか。総じて保留
  • 内容的には犯罪を助長しかねない記載があり、注意が必要である。ただし、入手困難な材料や難しい手法などもあり、実行されるか微妙である。価格も高く、青少年が購入するとは考えにくい。総じて保留
  • 記載されている行為が法に触れるものなのか判断が難しい。保留
  • 単なる情報バラエティ的な内容に過ぎず、これらのような面倒な手段を使って犯罪を行なってみようと思わないのではないか。指定非該当
  • 記述のとおりだとすれば犯罪を誘発するが、実行してみないと不明である。指定非該当
  • 模倣できるように詳細、具体的に記述されており犯罪を誘発するおそれがあるが、青少年の健全な成長を阻害するものか判断しかねる。評価せず。

赤-指定やむなし:5 緑-保留:4 青-指定非該当:2

 最近珍しい「犯罪助長系」の指定候補。
 まぁ確かに表紙のあおり文句はすごいこと書いてあったりするわけですが、実際にこれは使えるのか(対策済みではないのか、必要なものが入手困難ではないか)とか大人でも使えば捕まることを青少年に禁じることに意味があるのかとかそういう面から思ったより赤は伸びていない。中には判断をしなかった(評価せず)もある状況。
 こういうものにも目が届いているというのならきっとこの本にだけ青少年課の何かに引っかかる抜け技でもあったのかな?というのが個人的な見方w


東京都青少年健全育成条例可決後の誤解と混乱
 いろいろあったけど個人的に「これは違うだろ」と思った流れ2つ。
都条例問題:講談社で執筆中の小説家にまで、自主規制と萎縮の波
http://togetter.com/li/88338
 「漫画しか規制しないと言ってたのに、小説まで規制されたよ(笑)」から始まった流れですが、結局のところ出版社から来た「直し」が都条例に基づいたものなのかどうか一切わからないまま。
 知らん! さっき電話で告げられたとこ。もう今日は見たくもない。明日やる! 未成年のレイプのとこが引っかかったみたいだけど、レイプシーン自体は大丈夫みたい。RT @nile_yok: どんな内容をどう直せと来たのか具体的にお話聞きたいですが難しいですよね・・?
cagamiincage 2011-01-11 22:43:20
 そうなると確認ができるまでに潰しておかないといけない可能性は、都条例ではないんですよね……
 ・ねぇ、その「直し」って都条例がなくても普通に入る直しじゃないの?
 ・出版社は、都条例に抵抗する姿勢満々でありながら作家には直しを強いるってどういうことよ?
 しかし結局この2つは解消できないまま、本人も「直し」の件について猪瀬氏と語ったような気になって終了してしまったわけで……その後も一切語ってないよね
都に自著を悪書の見本に利用されたまんが家のつぶやき。
http://togetter.com/li/90395
 こちらは「自分の漫画がBSで不健全漫画として挙げられた」という一応「不健全指定の犠牲者」となった漫画家さんのツイートですが、不健全図書指定の対象についての認識がやや甘かった。
 「18禁コーナーにしか置かれてなかった筈の自著が都に利用されたことに疑問と疑念を抱かざるを得ない」(大きな驚き)
→「コミックキャンドール掲載作を単行本にしたものですから」
 (そのタイトルは18禁表示がありませんよ)
→「あれは本来出版社側が自主的に付けて来ただけのもので規則ではなく、問屋等の流通内部ではきちんと成人向けに分類されております」「問屋が書店に配布している月毎の出荷案内の表などでは、マークのあるなしにかかわらず全年齢枠と成人向け枠は分けて表記してあります。書店側はそれを参照しながら陳列をするわけで。」
 (出版社側が「成人コミックマークをつけないで成人扱いするように案内していた事実」が発覚?)
 (書店側は本当に「それを参照しながら陳列」してるのか?)
→書店員経験者「本屋でバイトしてたけど、「成人向」マークついてない本は18禁棚に置かずに普通の棚に並べてた」「書店向けに流れてくる入荷一覧でもマークついてないものは「青年向」表記でマーク付きは「アダルト」表記だったと思う。<きちんと18禁コーナーにしか置かれてなかった筈の>というのはどうかな…」
 これは流れ読んでる限りでは不健全指定について「出版社に騙された」印象が強い。でも漫画家にとって出版社は絶対だから今さら抗議しようにも……と都条例を憎むのもわかる。
 あと「一度指定されると中身を直しても再刊可能にならない」は再編して別の本刊行すればいいような気がするし、不健全指定は本に行われるので名誉回復の機会も何もないような……

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