ご返答をしようといろいろ調べたところかなりの分量になってしまったのでエントリーにします。
まだ6月(589回)の不健全指定分についてblog上に掲載されていらっしゃらないようですが、 一点気になった点がありました。 松文館の「ガールズポップコレクション レイプ vol.1」が指定されており(これの指定自体は エロゲー・レイプゲーム問題の流れを受けたもので致し方ないと思ったのですが)、 ガールズポップコレクションシリーズは単一の雑誌コードを共通して使用しており、
>雑誌コード、発行日、東京都不健全図書告示日、タイトル
>55156-19 2008.08.25 2008.09.12 ガールズポップコレクションシリーズ 秘密の扉vol.29
>55156-56 2009.01.25 2009.01.16 ガールズポップコレクションシリーズ 秘密の扉vol.34
>55156-70 2009.03.25 2009.03.13 ガールズポップコレクションシリーズ バーニングラブvol.27
>55156-79 2009.04.25 2009.05.15 ガールズポップコレクションシリーズ 背徳恋愛vol.1
>55156-90 2009.06.15 2009.06.08 ガールズポップコレクションシリーズ レイプvol.1
と過去1年間で5回目の指定がなされました。
ここで質問ですが、流通会社では年通算5回の不健全図書指定がされると帯紙指定、 事実上の廃刊になると思っていたのですが、今回の松文館の場合、帯紙指定となるのでしょうか? "年通算"が2009年のみを指すのか、過去12ヶ月を指すのかで解釈が分かれるところです。
コメントありがとうございます。
こちらといたしましても正しく知りたい部分は正しく知るように努めておりますが、専門家というわけでもないのでご返答というより現状での個人の意見としてお答えします。
「流通会社では年通算5回の不健全図書指定がされると帯紙指定、事実上の廃刊になる」ということはこの分野をみていると自然と聞くことになりますが、これは流通(取次)による自主ルールでして、東京都の指定を基準として流通に「帯紙指定」されても、雑誌自体の存続は出版社が決定することなので一概に「廃刊になる」とは言えません。
取次を通さないルート(出版社直営の通販とか)であれば、流通自体は可能になるはずです(ただ東京都で指定された以上、都内では区分陳列を義務付けられることになるので店頭でもそれに従った陳列をしなければならないはず)が、日本の出版業界において流通に扱ってもらえない(こちらの観察ではAmazon.co.jpもダメっぽい)ことは発行部数の激減とそれにともなう広告の撤退などで雑誌の死を意味するのは間違いないので「事実上の廃刊」は間違っていないと思います。たぶん今のところ立ち直れた雑誌はないでしょうし。
次に「過去1年間で5回目の指定」ということですが、前述のように「帯紙措置」が流通(取次)によって行われる自主規制であるため、東京都の答申に帯紙措置を行う旨が記述されることはたぶんありません(資料には載ってるんですけど)。ゆえにどのタイミングを「過去1年間で5回目」とするのかは流通(取次)側が判断することになります。
具体的に踏み込むためにはここで知るしかないのですが、東京都と違って公の団体ではないので内部を窺い知るには直接これらの団体に問い合わせてみるしかありません。
最終的な判断として該当雑誌の出版社がどのような対応をするか(帯紙をつけて成人向けとして出すか、やはり休刊・廃刊するか)で、どのような措置がなされたかをようやく知ることができると思います。
確認したところ、今月指定されたガールズポップコレクション レイプや当該指定図書について、出版社通販では「クレジットカード決済でのみ」という但し書きがついています。
つまり、出版社側は指定を認識しているんですが、そのうえで6月17日に「危険恋愛H Vol.46」を相変わらず一般で出しているわけで、以上のことから、少なくとも「5回目」に相当していないのではないか、そう結論するしかないと思いました。
そこで過去の資料で調べてみると、
2008.07.14指定 ガールズポップコレクションシリーズ 誰にも言えない秘 調教H Vol.35 過去一年間の指定実績 なし
2008.09.12指定 ガールズポップコレクションシリーズ 秘密の扉vol.29 過去一年間の指定実績 なし
2009.01.16指定 ガールズポップコレクションシリーズ 秘密の扉vol.34 過去一年間の指定実績 1回
2009.03.13指定 ガールズポップコレクションシリーズ バーニングラブvol.27 過去一年間の指定実績 なし
2009.05.15指定 ガールズポップコレクションシリーズ 背徳恋愛vol.1 過去一年間の指定実績 なし
2009.06.08指定 ガールズポップコレクションシリーズ レイプvol.1 過去一年間の指定実績 なし (2009.06.17資料より)
ポイントはもちろん過去5回の中で唯一加算されている1冊。
要するに「『ガールズポップコレクションシリーズ』レイプvol.1」ではなく「『ガールズポップコレクションシリーズ レイプ』vol.1」なんですこれ。
松文社のサイトを見ればわかるんですけど、ガールズポップコレクションはアンソロジーで、各ジャンルごとに独立して月刊~隔月刊で発行されているもので、特に先月の「背徳恋愛」や今月の「レイプ」は新しく作ったばかりの新レーベルの第1巻。「○回目」になりようがありませんし、むしろ箔がついてね?って感じみたいです。
雑誌コードについては、現にこういう形で処理されている以上これで理屈が通っているか、東京都がマジで気づいていないかだと思います。
個人的にも松文館相変わらず攻撃的だなと思っていたので、調べてみて思わず納得。思わず本当に攻撃的だなぁと再確認したえふすくでした。
【参照】 ※Wikipedia-有害図書 ※帯紙措置
なお、不健全指定の答申ではタイトルしか明らかにならないため、指定の速報は指定日の一般記事扱いとなっております。ラベル記事になるのは資料が出揃って特に意見類を閲覧できてからというのが当面の方針です。
2 件のコメント:
メールさせて頂きました、ぽやぽやと申します。
丁寧なコメント、ありがとうございました。
流通制限については、あくまで取次業者が加入している
自主規制によるものであり、とらのあななどが
独自に流通をさせる事は可能であることは承知しています。
雑誌コード単位の指定については、憶測によるもので
しかありませんが、じゃあ毎号名前を変えれば何でも
ありになってしまいかねないので現在実務上どう処理して
いるのかは今後の推移を見守るしかないですね。
塩山芳明氏あたりに聞けば一発で答えが出そうですが(笑
それでは、失礼いたします。
長文のメールに丁寧にご回答頂けたこと、心より感謝します。
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