高知新聞 2009年07月04日夕刊
「国立メディア芸術総合センター」(仮称)の計画が発表されて117億円の予算が成立したので大騒ぎ。 いつのまにこんな計画が進んでいたんですかね。漫画の業界にいながら少しも知らなかった。要望もしなかった。漫画はこの国では芸術として認められていなかった。 それでよかったのかもしれない。しょせん庶民のエンターテインメントで金ピカの額ぶちに入れてうやうやしく見る絵ではない。 民主党の鳩山由紀夫氏が国会質問で「なぜ117億円も投じて巨大国営マンガ喫茶をつくるのか」と質問した。 巨大国営マンガ喫茶ならぼくはいいのではないかと思う。親しみやすい、マンガ眺めてほっとひといき、心をいやされながらお茶を飲む。子どもをふくめた家族がごく気楽に入館して数時間楽しめるスペースを国家がつくってくれるのならありがたい。 心配するのは「国立メディア芸術総合センター」になりそうだからである。 メディア芸術というのは解りますか? 毎年文化庁ではメディア芸術祭を主催して優秀な作品を選定して表彰している。アニメも漫画も受賞するから企画そのものは悪くない。 しかし、ほとんどの国民はこの賞のことも受賞者も受賞作品も知らないのではないか。 たしかに授賞式はきちんと実施されている。しかしメディア芸術なのに、かんじんのメディアの方が関心がなくて大きくとりあげない。 芥川賞の方がよほどはなやかである。 今度のメディア芸術総合センターはこのメディア芸術賞がどうも中心になりそうなのである。国営マンガ喫茶のような感じにはなりそうもない。鳩山由紀夫氏はこの点を衝くべきだったのだ。日頃「政治を国民の手にかえせ、まず国民の生活」と言っていたように思うのだがちがうかな? MANGAが世界共通語になり、日本の漫画が現在は世界をリードしているのはまちがいない。しかし、中国、韓国、台湾等の躍進はめざましい。フランスを中心とするヨーロッパの漫画もその芸術性で日本の漫画家に強く影響を与えて独白の発達をしている。(ついに日本でもユーロ漫画誌が発売されるようになった) 日本の漫画は天才手塚治虫の出現で一種の鎖国状態で驚異的な発展をとげてきたが、正直に言って現在はいくらか勢いが衰弱している。コミック誌の売り上げも落ちてきた。 文化産業の視点から漫画を見ると、その経済効果と宣伝力は強大である。反日国家でさえも日本漫画のファンがいる。 それならば一番重大なのは国立のハコモノをつくる時、いかにして国民によろこんでもらうか。経済効果をあげるかということではないのか。 もちろんこんな意見は黙殺されて、低次元なドタバタが続きそうである「親しみやすい、マンガ眺めてほっとひといき、心をいやされながらお茶を飲む。子どもをふくめた家族がごく気楽に入館して数時間楽しめるスペースを国家がつくってくれるのならありがたい」とか完全に老人じゃないですか。老人だけど。 つーか自分の作品の記念館を地元のみならずあちこちに作ってることに関しては……
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